POWER MTG AI™誕生の裏側に迫る!開発者インタビュー:AIコーディネーター 灰藤 健吾氏

POWER MTG AI™誕生の裏側に迫る!開発者インタビュー:AIコーディネーター 灰藤 健吾氏

AIコーディネーター 灰藤 健吾

「AIコーディネーター」という肩書で、ChatGPTなどの生成AIを、企業が活用するためのサポートを行う。ChatGPTセミナーの参加者は500名を超え、同時に生成AI活用のコミュニティも運営。行政と連携したChatGPT活用による業務効率化にも貢献。

Q.「POWER MTG AI™」が生まれたきっかけは?

「確か当初は違う名称だったと思いますが、2024年の6月くらいに横須賀さんからふわっとお話をいただいて、動画や音声のデータを使って何かできないだろうか、というところから始まりました。しかし、それだと技術的に工数が多くなり、開発に時間も費用も掛かってしまうということで、8月くらいに今の形でスタートしたと記憶しています。

当時は横須賀さんが朝から晩までもの凄い数のミーティングをされていて(笑)、会話の内容を生成AIがジャッジするのは面白いんじゃないかという発想で始まりましたよね。最初の段階では1時間のMTGを文字起こしツールを使ってテキストに変換し、それをChatGPTに投げ込んで処理をするという形を取られていました。しかし、GPT-4oが出る前で、工数的に1時間の打ち合わせなら4回に分けて作業する必要がありましたので、これは人がやることではないなと(笑)。それを一回の入力でクオリティの高いものが出せないかと相談をいただいた時に、私が習得した技術がまさに当てはまるということで開発がスタートしました。最初の段階ではAPIの料金が一番安いGeminiのAPIを使っていて、途中で4oが出たという感じでしたね。」

Q.「POWER MTG AI™」の発想についてはどう思った?

「当時はそれほどAIが広まっておらず、現在に至ってもまだまだどういう使い方をするのかが考えられている中で、この使い方は結構すごいなと思いました。自分自身も今以上にAI自体を学ばなければいけないフェーズにありましたし、各企業もどう社員に使ってもらうのか試行錯誤している中、ユーザーが学んで使うのではなく、プロンプトなどを意識せずに、自然とAIを使える様な形が重要だなとちょうど考えているところでもありましたので、お話をいただいて”こういう形か”と驚いたのを覚えています。

LEGALBACKS会員の方は、会員向けのGPTsで横須賀さんのプロンプトを見たことがある方もいらっしゃると思いますが、私も『POWER MTG AI™』についてお聞きした際、こういう構造にしてほしいということで横須賀さんが書いたプロンプトをいただきました。一般に配布されている長いプロンプトに比べて非常にシンプルなんですよね。あっさりしているんだけれども、ちゃんと目的のものが出てくるように設計されているので、上手いプロンプトだなと思っています。

これは、キャラGPTでノアやニケとの対話プロンプトを積み上げてこられたのも大きいのかなと思っていて、横須賀さんは”AIを信頼している”と表現されていましたが、AIを第三者として扱うことで違う考えを引き出してもらうという発想があるんだろうと感じました。人間の自然な会話だと主語が抜けたりして難しい部分もありますが、そこにプロンプトが対応しているのもすごいですよね。」

Q.「POWER MTG AI™」はどのように動いているのか

「実際の開発画面を見ないと分かり辛いとは思いますが、裏で樹形図のようにワークフローが分岐していて、必要な作業の流れに添って回答が生成されていくというのが大まかな構造です。Advanceであれば、企業サイトのURLを入力することでフローがスタートするような形ですね。サイト内にあるURLもきちんと拾うので広く情報を取得することができるようになっていて、これをベースにプロンプトで指定した情報が出てくるようになっています。Advance miniはこれの業界版という位置づけです。

最初に実装したSuggestionは、お客様との打ち合わせ内容を入れると各種の提案を一式出力してくれるもので、Usualはその名の通り普段使い用で、お客様との打ち合わせ内容から課題を見つけてくれるものになります。Usualは、ご自身の考えを1人で話して録音したものをテキスト化して読み込ませ、アイディア出しに使っている方もおられるとのことで、AIはヒント出しが得意なので良い使い方ですね。

以上、現時点で4種類ありますが、いずれもフローの要所でWEB検索処理を走らせているので最新の情報もちゃんと出てきます。実際に触ってみなければ伝わりにくいと思いますので、ぜひ皆さんに体験していただきたいですね。」

Q.今後の「POWER MTG AI™」について

「お客様からのヒアリング内容を入れると経営診断ができるfor Consultantと、この人事労務版であるHRの2つが近々実装される予定です。これもお話をいただいた時に面白いなと思いましたね。AIを絡めたアドバイスの可能性がこれほど広がるとは、私も予想していませんでした。勉強になりましたし、色々な業界で使えるなと思っています。

今後も、横須賀さんだからこそ士業関連業務について高い精度を出せるという強みに、私だからこそできる技術要素をプラスすることで、士業の方々が本当に喜んでいただけるものを作っていきたいですね。設計思想として人間らしい仕事に寄与したいという思いがあるので、可能な限りボタン1つで実現できるようにしたいところです。横須賀さんが仰っているように、作業の大半がコピペというのは文化的ではありませんからね。

また、ざっくりとしたAI全体の活用法みたいな話にはなりますが、どのように業務、さらに言えばタスクレベルまで落とし込めるのかが重要だと最近では考えています。例えばAIで営業資料を作るという場合、お客様のことを調べるのはAdvanceで可能ですが、それをまとめて、自分の情報も入れ、構成を考え、資料に落とし込むというステップがあるはずなんですよね。そのタスク1つ1つをAIに落とし込んでいくというイメージをもっていただけると、もっと活用しやすくなるのかなと思います。」